NA.home通信 139号

                 23.jan.2000


 約20年前、兄の店の開店祝いに出したスピーカーが帰ってきた。イギリス ジョーダンワッツ社のフラゴンというヤツだ。
 JBLのパラゴンという有名な大型スピーカーがあるが、名前は似ているけど全く違い、小型で陶器の壺がスピーカーになっている。
 店の雰囲気を出したいというのと、どうしても手に入れておきたいという思いで大枚はたいて買ったことを思い出す。

 2件の店を渡り、常に厨房と背中合わせだったため、油まみれで上品なネットはボロボロ。
「音は鳴るぞ」という兄の言葉だけを頼りに、庭に放り出された黒いビニール袋から救い出してきた。

 陶器製の表面は簡単に綺麗になったが、さすがにネットはダメ。ネットが無いと丸見えの金属コーンが風体の壺と合わない。
 「何か無いかな」と考え、思いついたのが「寿司簾」。
 早速ホームセンターで1枚100円くらいのを2枚買ってきて、寸法に切って着色し張り付けた。
 当初のヨーロッパ調からいささか和風になったが、まあよかろう。

 リニューアルしたフラゴンくんを事務所棚に載せ、安物のミニコンポにつないだ。

        !!音が出た!!

 その音はそれまでつないでいたRAMSAの味気のないそれとは違い、人間くさい音だ。アカペラの曲などはなかなか聴かせる。
 ただ、ミニコンポとはやはりレベルが違うので、アンプの質の悪さまで聞こえてしまう。
 こんどはどこかでアンプを手に入れなくちゃ。そういえばどこかにあったような気がする…真空管の…。


HOME   LIST   138号   140号