NA.home通信 472号
29.Sep.2019

 たらこが嫌いだ。口に広がるあの感じがイヤである。みんなが美味しいと言った明太子パスタが、生臭くて喉を通らなかった。それ以降食べてない。でも、食べられないけど美味しいものだとは理解している。福岡へ行くと必ず中洲ふくやの明太子を土産に買う。試食はしない。100%妻が食べる。
 味覚は十人十色で違うようだ。幼児体験なども反映するのでややこしい。それを否定することも押し付けも出来ない。
 
 原田マハの「暗幕のゲルニカ」を読んだ。「ゲルニカ」とはピカソの大作。パリ万博のスペイン館で公開された。フランコ率いる反乱軍が起こしたゲルニカ空爆を描いた。
 物語は、暗雲漂うその時代のパリと、9.11後のニューヨークを並行して書かれている。
 それを結びつけているのが「ゲルニカ」、ナチスの支配下に落ちたフランスとテロへの報復に動くアメリカと、時代は違えど空気が酷似している。ピカソが描いた本当のテーマは何か。
 
 岡本太郎作「明日の神話」、修復なったと聞いて東京都現代美術館へ行った。今は渋谷にあるらしい。
 まず大きさに驚いたが、これは核戦争への警鐘だ、と見たのは私だけでは無いはず。でも人によって感じ方も様々だろうし、それで良い。芸術は自分の心を映しだす鏡のようなものではないか。自分の感じたものを言うのは良いが、押し付けてはならない。嫌いなものを「喰え」と強要するのと変わらない。
 
 最近、芸術に対して意見を押し付ける輩が横行している。真に見苦しい。自分が卑しい人間だと言っているのと同じだ。
 またその背景に国家権力が見え隠れする。それはピカソやゴッホなどを「退廃芸術」と決めつけたヒトラーと同じではないか。

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