NA.home通信 306号
15.dec.2009

 名古屋の食堂でとんかつ定食を頼んだときの話である。
「味噌にしやぁすか、ソースにしやぁすか」
そう訊かれて味噌にしなきゃ野暮である。
 もう20年も前の話、最近ではとんと聞かれなくなった名古屋弁である。
 
 言葉は文化である。名古屋弁も積極的に使った方が豊かで良いと思う。
 例えばコンビニで弁当買ったら、
「暖めますか」より「ぬくとめる?」のほうが暖まるような気がしない?
 綺麗な○○弁ではなくても、この地方しか通じない言葉は数かず残っている。
 その一つが「B紙」。全国的には「模造紙」というらしい。
「B紙というものはなぁ、A版を1.5倍した日本独特の規格だでよぉ、模造紙とは何事でぁ」とは学者肌のOさん。
 怒ってみたって愛知県を出れば「B紙」では通じない。
 
 近くでもわからないことばもある。西三河の人が使う「こんとき」が理解できない。
 「こんときの会議で…」それは今から行う会議なのか、次回なのか、また、会議が終わってからの「こんときの会議」はいつの会議を指すのか、未だ不明である。
 
 ちょっと前のこと。鶴舞(つるみゃぁ)の居酒屋で、地酒を注文した。
 マスにコップを立て、今時のギャル風のねぇちゃんが注いでくれる。コップから溢れた酒をマスが受ける。マスとコップがくっついているところから酒がこぼれそうになったので指でちょっとずらした。するとねぇちゃんは驚いたようで、
 「お客さん、デラこっすいがー」
 名古屋弁は生きていた。

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