NA.home通信 204号

23.nov.2003
 10年以上前に読んだ、三遊亭円丈の「雁道」という本に「矢場トン」という店の話が出てきた。この店には私も思い出があった。親父の運転する「トヨペットマスターライン」という車でどこかへ行った帰りに立ち寄った。
 店は超満員で、階段に座って味噌串カツを食べた。初めての味だった。
 その本で思い出し、大須へ行った折、子どもの頃の記憶を頼りに行ってみた。意外と記憶は正確でズバリその場所にまだあった。ところが定休日。仕方なく日を変え一人で行き、また家族で数回通った。
 何とも言えない名古屋の味だね。その後はダイエットのため禁断の食べ物になり、行っていない。
 わが町半田にも美味しいものはいろいろあるが、ベストスリーは「たなかのドテ」、「菊乃屋のラーメン」、「三七福の餃子」かな。
 どれもすごいのは営業時間。たなかは日暮れから7時半頃で終わり、菊乃屋(本店)は昼だけの営業。三七福は持ち帰りできるが、6時頃までに電話しないと売り切れ、店でも9時回ると片付け出す。昼はやっていない。
 これらの味を知らない諸氏は是非味わって頂きたい。場所は3軒とも商工会議所の近所なので、そのへんで尋ねてもらえばわかる。

 先日悲しいことが起きた。満江乃のおばあさんが亡くなったそうな。満江乃のトンチャンを食べたら、他の店で食べられなくなる。その味を支えてきたおばあさんが亡くなった。これで半田の味が一つ消えた。
 菊乃屋もおじいさんに豚骨を割る力がなくなってきて、そろそろ店を閉めるそうな。たなかのおばあさんも80を超える高齢、いつまで続くかわからない。そういえば「若竹のテール」というのもあったな、おばあさんが死んでも息子が頑張ってきたけど、経営難か3年ほど前に店を閉めた。

 味はなかなか残せないけど、何かの形にして残したいね。本でも書こうか。円丈の雁道ならぬ雁宿か、ちょっとインパクトが足らないね。

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