NA.home通信 203号

2.nov.2003
 毎年この時期、東邦ガスの「ガス展」の建築相談コーナーに相談員を派遣しなければならないのだが、今年から無くなったようで、ホッとしている。
 というのも、相談者が全くなくヒマでしょうがないからなのだ。
 どこの建築相談もそう、春先にあった半田市の福祉フェアーでもヒマが予想されたのでノートパソコンを持って行ったのだが、コンセントが無くてダメだった。

 最初の体験は二十歳頃までさかのぼる。東海市から依頼があり、うちの所長が相談員になっていたのだが、「俺はイヤだからおまえ行け」というのだ。
 市主催の相談会にこんな若僧で良いのか。「どうせたいした相談はないから十分だ」とナメ切った態度。
 ま、所長命令だからとなれないネクタイを締めて出かけた。
 当時の東海市は合併の余韻が残り、市役所が二つに分かれていた。その南庁舎、旧横須賀町役場のじゅうたん敷きの応接室が相談会場。そこにぽつねんと一人相談者を待つ。
 所長に言われて法令集は持ってきたが小説やマンガはない。まるで禅の修行のようだ。
 市の担当は広報車を走らせ相談を訴える。広報に載せ、直前にもう一度回覧板で回したという。午後から広報車を増やして回ったようだが、結局応接間のドアを開けたのは市の担当者だけ。何も仕事しないのに、昼食にステーキランチをご馳走になり、手当をもらって帰ってきた。
 給料の二重取りになるので手当を所長に差し出すと、
 「どうだ相談者はあったか」「いいえ、一件も」
 「どうせそうだと思ったよ。そのヒマざいの手当だよ」と返された。
 その頃、所長が建築士会の支部長だった。今私が支部長。
 うちには所員が居ないから振る人間が居ない。こういう依頼は来ないように願いたいのだが、来るんだろうな、福祉フェアー。
 今度は相談に必要だからとパソコン用の電源を用意させようか、そうすりゃゲームで時間がつぶせる。

HOME   LIST     202号    204号