NA.home通信 177号

15.apr.2002
 仕事場にA−717というパイオニアのオーディオアンプ(以降「弥七」と呼ぶ)がやってきた。
 インターネットのYahooオークションで、破格の11500円で落札したものだ。
 パイオニアは人気が無いらしく、ソニーやヤマハといったメーカーの物は高値で取り引きされているのに、みんな知らないのだろう。12,000円を超えたら即、諦めるつもりが落札してしまった。アンプの音質は重量に比例すると言って良いのだが、弥七の体重は20kg、その点では十分だ。

 事務所には先輩がいる。英国生まれのスピーカー、フラゴン君(139号参照)だ。
 兄が店を開くときに祝いに買ったもの。2台で96,000円、しかし、厨房から立ちのぼる油煙にまみれ苦節20年、2年前に新店舗に移転と共に引き上げてきた。
 スペイン生まれの陶器の肌は綺麗にはなったが、美しい木目の格子は剥がれ、今では寿司簾に替わっている。
 その不遇な生活でぐれたか、どうやっても片方の音が小さい。どうつなぎ直しても同じ。しかたがないので元気な方をアッテネータで8dB落として鳴らしていた。

 「親方、あっしにまかせてくだせぇ」とばかり弥七は名刺代わりの初仕事にフラゴン君の更正に乗り出した。
 「そんなもんは無用でござんす」というのでアッテネータを外して直接繋いでやると、やわらパワーをフラゴンに送った。
 するとどうだろう、しばらくすると音が出てきた。今では見事なボーカルを聴かせてくれる。
 弥七はミニコンポとの格の違いを見せつけた。

 家で出番がほとんど無いFMチューナーを持ち込み、配線済のFMアンテナに繋ぐ。永久貸与された6連奏CDデッキとあわせ、定価合計40万円を裕に超えるラインナップ。
 全員一線を退いた連中ばかりだが、さすが一級品、相当な音質になった。
 こうなると大型スピーカーが欲しくなってきた。
 タンノイ、JBL、、あーダメだ、オーディオの虫が動き出した。

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