NA.home通信 148号

                 23.jul.2000


 5年半ぶりの神戸だ。
 勝手に読者を入れ替えているので読んでいない方が多いと思うが、通信57号で書いたように当時仕事があって、震災当日書類の訂正で神戸市役所へ行く予定だった。
 前泊でもしていたら、どうなっていたか。
 「神戸で一儲け」と思っていたので後ろめたいようで、気にしながらも行きにくく、年月が経過してしまった。
 建築士会半田支部の研修旅行で訪れた神戸・淡路は、何もなかったように繁栄しているようだが、よく見ると傾いたり、ズレたりしているビルも数多く、仮店舗の商店などまだまだ傷跡は多く残っている。

 六甲アイランドの遊園地で施設を造る予定だった私は、役所と協議のため技術担当のOさんの運転で遊園地をでた。
 阪神高速道路の下を通りかかると、冗談ぽく「ここで地震にあったら大変だね」と言うと「なぜ」と聞くので、支柱がいかにも細くて倒れそうだと告げた。
 するとOさんは「丸柱は視界が良いんですよ。それと神戸には地震はありませんし」と驚くようなことを言う。
 地震無くてどうやって六甲山脈ができたというのか、技術者のOさんがそれだからおそらく神戸市民の多くが地震のことは頭に無かっただろう。
 その高架は一月後に倒れた。

 しばらく話のネタに、バッグに入れ持ち歩いていた神戸市の確認申請受付表はどこに片づけたか出てこない。未だ書類の訂正に行っていなし、その訂正事項が何だったかも覚えていない。
 「あの書類は市役所に残っているだろうか。取り下げた方がいいのだろうか」などと考えているうちにバスは復旧なった阪神高速を走り神戸から離れていった。


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