NARUTA建築事務所の建築相談
〜 結露編 〜 
  Q1. 二重サッシで結露
  Q2. 半地下の車庫の壁が結露
  Q3. 押入内の結露
  Q4. 床下の湿気対策
Q1. 二重サッシで結露

××ハウスの3階建てに住んでいます。新築時に二重サッシにしたのですが、窓が結露して、窓枠に染みこみ、ブヨブヨになりました。
メーカーに補修を頼みましたが、十分な対策は取ってもらえません。(広島県Aさん)

A1. 鉄骨に直接取り付けたアルミサッシが原因

この相談をいただいたのは、10年以上前になります。相談者にとってはコストを十分にかけた家を造ったつもりが、このような状態なってしまいました。
この家の構造は鉄骨で、煉瓦状の凹凸のある外壁が張ってあります。鉄骨の胴縁(外壁を止める下地の桟)に外壁のパネルもアルミサッシも取り付けてあります。

凹凸の大きな外壁パネルはラジエーター効果で外部気温とほぼ同じ温度になります。その温度が鉄骨胴縁に伝わり、熱伝導率の良いアルミサッシの枠に伝わります。
当時の二重サッシは、内部建具もアルミ製で、枠どうしをつなぎ止める構造になっていました。そのため内部サッシの枠まで外部気温が伝わり、暖かい室内と温度差が発生し、枠に結露します。
悪いことにハウスメーカーの多くは額縁(相談者は窓枠と言っている)を塩ビの既製品を使っています。塩ビの膜の内側は木質の繊維を固めた「MDF」という材質ですから、ここに水が入るとブヨブヨに膨らんでしまいます。天然の木材なら、水を吸って、昼間乾く、を繰り返すので大きな問題にならなかったかもしれません。

対策方法は、アルミ製の内部サッシを結露しにくい樹脂製か木製に枠ごと取り替えれば問題は無くなります。現在では樹脂製の内窓が各メーカーありますので、それを採用するのも良いでしょう。
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Q2. 半地下の車庫の壁が結露

鉄筋コンクリート造の車庫で壁の半分ほど土に埋まっています。冬に湿気るので、季候が良くなった五月にシャッターの下部を細く開け、換気扇を回していますが、壁が汗が流れるように結露します。除湿器も2台置いていますが解決しませんどうしたら良いでしょうか。(札幌市Bさん)

A2. 換気では結露は止まりません

結露は温度差で生じます。空気の温度が高くなると加速度的に空気中の水蒸気量は増えます。春のさわやかな空気には雪の降る冬の空気より何倍もの水蒸気が含まれています。
地表の温度は外の気候に左右されますが、少し掘れば、そこの温度はだいたいその地域の年平均の温度になっています。つまり井戸水の温度です。
札幌ですから。おそらく地熱は10°無いと思います。半地下車庫の壁は土に接していますから、ほぼ土の温度になっています。そこに5月の暖かい空気が入ってきますから、冷やされて結露します。シャッターを開けて換気扇を回したら、どんどん高い温度の空気が入ってきますから、水をかけているのと同じです。

対策としては、シャッターを閉め、換気扇を止め、除湿器だけ回すのが良いでしょう。車庫の中を地中温度と同じ程度にしておくことがこの場合ベストです。
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Q3. 押入内の結露

押入の中が湿気って困ります。ひどいときは水が流れます。(武豊町Cさん)

A3. 暖房中に押入を開けたままにしてはいけません

耐震診断に伺ったお宅で、相談を受けました。
「暖房中に押入のふすまを開けているでしょう」と私が言うと、
「なんでわかるの?」と不思議そうな顔。
「洗濯物が乾くからといって、押入の中は乾きませんよ」

結露は温度差で生じます。暖かい部屋の空気を押入の中に入れると、中のものから壁も天井も暖房しない温度になっています。
そこに部屋の暖かい空気を入れたら、結露するに決まっています。
暖かい日に、押入の中のものを日干しして、暖かいうちに仕舞って、押入をぴったり閉めておくことです。暖かい空気を通わせてはいけません。用が済んだらすぐ閉めましょう。
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Q4. 床下の湿気対策

床下が湿気っていると思います(と言われました)。床下の換気扇を取り付けた方がよいでしょうか。

A4. 床下に換気扇を取り付けても有効な対策ではありません

何度も言うようですが、結露は温度差で生じます。地下水が床下に湧く場合などを除き、床下の湿気は結露によるものが多いのです。
地下車庫のところで述べましたが、地熱はその場所の年平均気温になっています。知多半島では16〜17°くらいです。したがって日の当たらない床下の温度はその温度に近くなっています。そこに夏の30°を超える暖かい空気が入ってきたらどうなるでしょう。当然冷やされて露がおります。
自然現象ですからしかたがないことです。ただ全体に温度が高いですから、水の分子の動きは活発で、木材にしみ込むより蒸発する速度の方が早く、特に問題になるレベルではありません。自然に任せておけば良いのです。

そこに換気扇を付けるとどうなるでしょう。冷たい床下に暖かく湿った夏の空気をどんどん入れ込み、床下に水をまくのと同じことになってしまいます。
また、冬には床下に冷たい外気を入れることになり、床暖房の逆で床冷房になり、北側の部屋などでは寒くて寝られない、という状況になります。
床下の換気扇は「百害あって一利無し」ということになりがちです。気をつけましょう。
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