建築士会の編集委員になったのはもう20年くらい前のこと。
委員の先輩でH間先生という方がいて、「これをさし上げよう」といただいたのがハガキ通信のコピー。イラスト入りのエッセイである。
インターネットのない時代、自分と誰かとのつながり、たいへん魅力的に思えた。
自分も何か出来ないだろうかと考え、兄の店に「置き通信」という形で小さな印刷物を置かしてもらった。「料理の話題」が兄のリクエスト。建築の話と表裏で話題を書き込み、5〜60枚印刷して店に置き、2週間で新しいものと置き換えた。
料理と建築、二つの話題を考えるのはとても辛い。もう少し気楽な話題をと、ハガキに替えていった。
店置きはお金がかからないが、ハガキは一枚50円である。H間先生が「それくらいの道楽はたいしたことではない」と言っていたことを思い出し、腹に決めた。根がケチの私としては相当の決断である。
H間先生曰く「イラストの無いのは通信ではない」そうで、へたくそでもイラストを描く。でもなかなかH間先生に出せるようなものにならなかった。
最初はモノクロで、イラストを鉛筆で描いたり別に描いて貼ったりしていたが、そのうちパソコンでカラーに。また手書きをスキャニングしパソコンで塗り絵。現在は100%手で描いたものにしている。
やっぱり手で描かないと上達しないね。
気付けば300号である。17年、文章にもイラストにも苦しみながらここまで続けてきた。これからも生きている証しとして出し続けたい。
苦しみながらもこれは[道楽]なのであるから。