NA.home通信 102号

                 3.nov.1997

 紙の大きさはA0版が基準で面積は1u、縦横比が1:√2。B0版はその1.5倍だそうだ。B4版はB0を4回半裁したもの、つまり1.5u÷(24)=0.09375u、36cm×26cmになり、書道で使う半紙とほとんど同じ大きさということで、日本で親しまれてきた。

 しかし、最近A版化の波が押し寄せてきてきた。A版はB版の67%の面積だから小さくなるのかと思えば、B5をA4にしようとするから逆に1.33倍になってしまう。この環境重視の時代に困ったものだ。その理由に「世界基準」ということだが、アメリカはA4版なんか使っていない。幅はあっても妙に寸詰まりの大きさだ。しかしこのサイズなら30cmが基本の本棚に入る。A4版では入らないのだ。

 NA通信47号(もう覚えている人はいないと思う)で書いたが、欧米の単位「フィート」と日本の「尺」は約30cmでほとんど同じ寸法だ。両方とも人体寸法から出てきたもので歴史と文化が築いたものなのに、日本は捨ててしまった。また紙のサイズも捨てようと言うのか。メートル法を1.5倍するという絶妙なやり方で半紙のサイズを守った先人達の努力を思うと申し訳ない気がする。

 尺を捨てたといいながら、いろいろなものがメートルに換算して作られている。でも、6尺が1800mmのものや1820mmで作ったもの、または6フィートにあたる1829mmが混在しそれらを合わせる建築工事は、調整するロスがバカにならない。これではコストダウンになりそうな訳がない。

 「尺度を棄てるとそこに混乱が生じる」と思いながらA6版の通信を送る私でした。(44号まではB6でした)


HOME   LIST   101号   103号