NA.home通信 228号

3.may.2005
 学生時代行った建築視察旅行で、バルセロナからコルドバまで寝台列車で移動した。
 列車はコンパートメントになっていて3段の寝台。1段目が椅子になっていて、上段は固定、中段が壁に付いていて、パタンと開くとベッドになる。
 夕方バルセロナを出た列車はバレンシアでベッドメーキングの予定。ところが予定の8時になってもバレンシアに着かない。着いたのは9時、1時間遅れである。この調子だと明朝6時着予定のコルドバには7時頃になるな。ならばと酒盛りが始まる、6時に起きなくても良いのだ。
 
 酔ってベッドで寝ていると「起きろー、コルドバに着いたぞー」と添乗員の叫ぶ声で起こされた。
 「ええ?、まだ5時だぞ。バレンシアで1時間 …」
 「とにかくコルドバに着いた、つべこべ言わず降りろー」
 コルドバは途中駅で停車時間が短い。一行30人、ホームに飛び出すや、列車は出ていった。どうやら全員忘れ物もなく降りられたようである。
 「なんで1時間遅れていたのが、1時間早く着くんだ」
 「どうして1時間早く着いて、そのまま出ていくの?」
 「スペインの列車ダイヤはどうなってるんだ」
 口々にぼやく。
 
 駅舎を出たが迎えのバスは来ていない。当然である。添乗員がホテルに電話したが誰も出ない。1時間待つしかない。
 駅の庇の下でトランクに腰掛けたり、バッグを枕に寝ころんだり、酒が残ったボーっとした目でまだ明けないコルドバの街を眺めていた。
JR西日本の列車事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
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