「シロアリを 駆除する業者が 家を喰い」
耐震診断で調査する内、シロアリの被害より駆除業者による被害の多さに目を覆う。その被害は床下や天井裏にあり、家主には自覚が無く、業者を信じ切っている。「シロアリさん」と呼び、繰り返し被害に遭っているのだがわかっていない。彼らは「シロアリ教」の信者に違いない。
信者だから否定することは言えず、付けられた金物は「効くか」と問われたら、「信じてれば効くかも」とぼんやり答える。
科学的根拠のない「お札」と同じだ。支払った料金は「お布施」、20万円程度の仕事に80万円とか払っている。
定期的な薬剤散布に意味は無いが、百歩譲ったとしても、その作業のため、基礎に穴を開けるのは許せない。それが原因で基礎が割れたり、下がっていたりする例もある。
必要なら床に点検口を作るべきだ。被害はそれだけに留まらない。高そうなステンレス製のピカピカの金物や、床下が湿っていると騙して高価な送風機を取り付けている。それで喜んでお布施を上げている。
基礎の破壊で家が下がっている家を補強した。
いくらお話をしても信じていただけなかったが、床をはがしてその事実がわかると解宗されたようで、信頼されるようになった。
あまり悪く言わずやんわりと諭す。宗教だから手強い。
空き家になり相続人の息子さんと調査をしたことがある。まさしくシロアリ屋被害の家で、このような「お札」が次々出てきた。
息子さんは嘆く
「親父、何やっとる。アカンじゃん!」。
全国商工新聞 2020.11
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