設計者は本当の値段を知らない。
何を言ってんだ、寝ぼけているのか。そうではない、教えてもらえないのである。
工事の予算は誰が立てるのか、もちろん発注する施主が決めることなのだが、施主は専門家ではないので具体的な「何円」まで決めきれない。そこで必要なのが設計書である。
工事業者が作れば見積書、設計者が作るのがこれである。
設計内容をその仕様、数量、単価を積算して作る。数量は電卓叩けばはじき出せるが、問題はその単価だ。
建設の単価だけ載せてある雑誌が毎月更新され出されている。公共工事などの設計を依頼されると、この雑誌を数冊買って、設計書を作成するのだが、載っていないのも少なくない。
これが分からない。工事業者が「お手伝いしましょうか」、と近づいてくる。
彼らは見積もりのプロだ、本に載っていないものは下請け業者に出せば、単価が出てくる。それで設計者に恩を売り、入札を有利にしたい、下心見え見えだ。
それが嫌なので色々な資料から捻って単価を弾く。出来た設計書の金額は高くても安すぎてもだめで、入札が適正に行えるものでなければならない。
予算を意識しながら図面を描くなど、目隠しでストライクを投げるのに等しい。
それでもって本当の単価を業者は教えない。設計単価というものが存在して、教えて良い金額なのだ。半値八掛五割引、一体本当の値段はいくらなんだ。
出来た設計書で施主と協議、公示価格が決まる。新聞などにも公開しないといけない。
全力要求でストライクを投げたのだ、それで談合だと?、ふざけるんじゃない。真剣勝負で望んでほしい。
全国商工新聞 Feb.2023
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