NA.home通信 279号
18.may.2008

 こういう話題は避けたいのだが、やむを得ないのでお付き合い願いたい。もちろん中国の地震の話である。
 映像で見る限り瓦礫の山から鉄筋が見えない。レンガを積んで漆喰のようなもので塗り固めてあるようだ。床スラブもブロックのような中空の断面が見える。耐震性がかなり低い建物のようである。

 校舎が崩れ、多くの子どもたちが犠牲になっていることが一番悲しい。学校くらいはもう少し耐震性のあるもので造れなかったか。
 コンクリートはセメントと砂利と砂で出来ている。セメントは石灰石が原料、世界中どこでもあり、資源の少ない日本でも自給できる。セメントさえ運べばそのへんにある砂利や砂で建物が造れる非常に便利な建築材料である。
 特徴は圧縮には強いが引張には弱い。弱い部分を鉄筋で補強する。最大の欠点は重いこと。3階建ての1階では自分の頭の上に3トンくらいのコンクリートが浮かんでいる、と思えばよい。それが落ちてくるのだから机の下に入ったくらいでは命を守れない。
 僕らの子どもの頃はまだ木造校舎もずいぶんあった。これなら瓦や梁が落っこちてきても、机の下で助かるし、瓦礫撤去も簡単である。
 日本の建築基準法でも2階建てまでなら建てられる。なんで木造で造らないのだろう、と思う。火災の問題?火の気のない学校で?。
 
 木造の耐震性能が計算できない昔ならともかく、今なら間違いなく鉄筋コンクリートより耐震性能の高い木造建築は造れる。
 大事な子どもの命を考えたらどちらがよいか、今回の地震が教えてくれているはずである。

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