NA.home通信 169号

14.oct.2001
 過日、はじめてイオン東浦なるところへ出かけた。
 買い物は好きではないのだが、やせたおかげでスーツがダブダブになり格好良く着られるものが無く、「やむを得ず」ということで、どうせならと見学がてら足をのばした。
 A体6号というメチャメチャ標準体型のスーツがピッタリで、AB体、B体のデブとは完全に決別したことはうれしかったけど、それよりまして価格が驚きの1万円。余った予算でジャケットとズボンを買った。そちらの合計が14,000円あまりでスーツより高くなったが、3万円の予算で2倍買えて、少し余った。

 その昔、スーツといえば仕立屋に頼むかデパートのイージーオーダーで、月収の半分くらい吹っ飛んだ。今ではジーパンとトレーナーの方が高い。
 電化製品も安く「同じ数売っても売上は以前の半分以下」と店主は嘆く。
 それらのほとんどが中国などの隣国で生産され日本に入ってくることは周知のこと。物価の安い国では所得も少なくて十分暮らせる。日本と周辺諸国との物価の差が無くなるまで、こういう事態は続くのだろうか。
 まあ、日本も歩んできた道なのだから、仕方のないことかもしれない。

 街から仕立屋がほとんど消えた。残る店も「直し」などで細々やっている程度だ。
 オーダーメイドのスーツの方が良いことは百も承知なのだが、たまにしか着ないスーツにそんなに出せないし、1万円スーツなら、酔っぱらって道で寝ころんでも安心だ。
 大企業の横暴と気づきながらもその価格の魅力に翻弄され、それでもまちづくりを云々する矛盾を感じつつ、A体6号のスーツに袖を通し、満足げな私が鏡の中に居る。

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