NA.home通信 119号

                 22.nov.1998

 右と左の手のひらを比べると、私の左手は右より1cm近く大きいし厚みも違う。足もそうだ。靴を買うときは必ず左で合わせる。
 「もともと左利きじゃないの?」という人もいるけれど、100%右利きで、左はまったく不器用なのだ。スキーも左足に体重が乗らず、なかなか上達しない。

 以前、右手を怪我したときに左手では何もできなくて困ったことがある。歯も磨けないのだ。
 「歯磨きぐらいは出来るでしょう」と息子が挑戦したが、彼も右利き、「やっぱ、左じゃ出来ないねお父さん」と言いながら戻ってきた。

 ところが、左利きの人はたいてい右手も使える。字を書くくらいは朝飯前。
 私が左で書くと金釘になるのは当たり前で、鏡に映したように裏返しの字になってしまうのだが、左利きの人はそうはならないのが不思議だ。

 あるお宅を設計中のこと。
 施主のご夫婦とドアの納まりなどで意見が合わないので、しばらく何故かと考えていたら、お二人とも左利きということに気づいた。これで納得。
 バリアフリーが叫ばれながら、左利きというだけで結構ハンディーを被っているのだなと確認することが出来た。
 工業高校には製図台が人数分揃っているが、左利き用は一台もない。でもクラスに毎学年2〜3人は居る。彼らが苦しそうに描いているところは気の毒でならない。

 もしかすると、左利きの人が右手も使えるのは、右利き社会の中で生活していくための防衛手段なのかもしれない。
 私が左を練習したのは野球のグラブ使いだけだものね。

 でも、右利きの私が左利きになる時がある。
 ……それはまた酒の席でお話しするとしましょう。  


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