NA.home通信 117号

                 1.oct.1998

 台風7号到来の日、私は委員長を務める建築士会の編集委員会があり、出かけた。

 定刻の2時8分出た急行は巽ヶ丘を出ると徐行運転になり、名和で臨時停車。5分ほどで発車したものの、またも停車。
 しばらくするとドアが閉まったままエアコンや灯りが切れたので、車掌室のドアから降りることにした。
 どうやらここは豊田本町らしい。
 まず、建築士会に電話を入れてタクシーを拾いに行ったのだが、タクシー乗り場はなく、通りに出ていってもまったく拾えない。
 40分ほどたち風はますます強くなり、立っているのが危険な状態になったので、駅に戻り電話BOXに入ったのだが、電話を掛けた直後にBOXが停電になった。テレホンカードは戻され、大慌てで1枚あった10円玉を入れたが、用件を十分伝えられず、とりあえず出た委員の方に「今日は中止」の意思だけ伝えた。

 また、倒されそうな街路樹の下をくぐり、通りに出たら今度は5分ほどでタクシーを拾うことができて、帰宅することにした。
 知多半島道路が閉鎖されていたのでやむなく、共和インターから大府経由で戻ってみると、あちらこちらで信号が消え、家に着くとここも停電で、「電話が使えない」と娘が騒いでいる。
 あわてて説明書を見るとISDNのターミナルアダプターに乾電池を入れないといけないようだ。
 かき集めて単3電池6本入れ、FAXに付いている電話機を外してきて繋いでようやく電話は復旧した。
 暗くなったのでキャンドルライトでカップ麺を食べる夕食を取ったが、風呂も入れないし、テレビもダメなので開き直ってトランプ大会としゃれ込んでみたが、さすがに9時を過ぎると飽きてきた。

 なんとか10時前に復旧し助かったのだが、これほど電気がないと何もできないとはまったく情けない。
 「便利さの陰に…」と言いながら灯りがついた瞬間、ガッツポーズの私であった。


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