耐震改修だけでは
成田完二の 勝手にコラム   耐震 018
 あなたならどうする?。
 古い歌の台詞ではない。耐震改修の相談で悩んでいる。
 家主は一人暮らしの男性で両足に障害があり松葉杖生活。家は海岸から100m、地震時の津波が予想されている。高台移転を提案するも完全拒否。困った。

 耐震改修の目的は住人の命を守ること。突発的に起こる地震に対して、避難できる空間を残す。これが最低の目標。 地震後に起こる津波や火災に、挟まって逃げられないではまるで地獄だ。
 高知県の改修事例で見たのは、5分で来る津波に備え、耐震改修とともに避難路に直接出られるドアを付けたもの。一刻でも早く逃げられる工夫だ。耐震改修の神髄を見た気がする。
 津波や火災が収まった後には長い避難生活。家の被害が少なければ自宅で送られる。耐震改修を希望される人はここだけ見てる気がする。
 災害時にこの報道が中心で、逃げ惑う人々の映像はあってもドラマ仕立てで実感がこもってない。

 移転を拒む理由は何だろう?。
 育った家、家族との思い出。そんなもの、親の事業失敗で住む家を追われた私からすればくそ食らえだ。自分の命の方がどれだけ大事か。
 男性の家の標高は1m位か。3mほどの堤防はあるが、堤防の低い川も近い。津波被害は止められないだろう。
 2〜3mの津波で耐震補強をした家でも流されてしまう。周囲は古い市街地で倒壊した建物や液状化した地盤で、避難路確保も困難な場所だ。
 車しか移動手段が無いでは、助かる手立てがない。さあ困った、誰か教えて。
全国商工新聞 Sep. 2023
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