地域係数Zって何?
成田完二の 勝手にコラム   耐震 015
 同じ構造強度の家の耐震診断結果が、東京では0.80、福岡だと1.00。東京では基準を下回り「やや危険」の判定、福岡では「ほぼ安全」の判定。 これってどうだろう?福岡には80%位の揺れが想定されているのだろうか。
 建築基準法による地震層せん断力係数(Ci)は、Ci=Z・Rt・Ai・C0 で計算する。難しそうな数式で恐縮だが、iは階数を表し、Rt、Aiは建物の形状、荷重の配置などで決まる。
 C0は標準せん断力係数で0.2以上とされている。Zは地域係数で、1.0〜0.7までの係数が地域により決められている。
 Rt・Aiが合理的な数値なのに対し、あまりにざっくりした係数である。地震の起こりにくさだと理解していたが、そうではなさそうだ。

 東京、名古屋、大阪などのベルト地帯は1.0だが、南海トラフの被害が大きく予想される高知県や宮崎県は0.9、最近群発地震が起きている石川県能登地域も0.9、近年地震のあった新潟県や熊本県も0.9である。山口県や福岡県、佐賀県は0.8で沖縄県は0.7だ。
 Zが0.8の地域では1.0の地域の80%の耐力があればOK、ということになる。当然のことながら同じ規模の揺れが来たら、0.8の地域の方が被害が大きくなる。
 すべての建物がこの基準で建てられている。つまり、福岡のマンションは東京の8割の耐震強度、となっているかも。地震大国日本、何処で地震が起こってもおかしくない。
 そろそろこんな危険な地域係数、撤廃する頃ではないだろうか。

全国商工新聞 Jan. 2023
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