オフレコにして欲しいが、貸家3軒耐震改修を行った。当時補助金が1件130万円で、390万円受け取った。
大家は元大工で工務店を経営していたが引退・廃業している。施工は後輩の大工で1件180万円ほどの見積書が出てきた。「少し高いな」と思ったがそれで補助金申請を行った。
工事が始まって現場に行ってみると大家さんが大工道具を持って仕事をしている。貸家は平屋で1戸40u弱、改修は外壁のトタンをはがして、補強をしたあと、ガルバリウム鋼板で外壁を復旧する。板金工事も大家さんが行っていた。
勘の良い読者ならもうからくりが解っただろう。耐震改修は平屋で小規模な家ならかなり安価に仕上げられる。補助金が全額補助なら持ち出し無しも可能だ。
今度は逆の話。
ローラー作戦で平屋の家に行くと、出てきた主人は大工だという。補助金が130万円あるからと貸家を改修した例を話した。
その時は考えてみるということだったが、後日「面倒だから」と断ってきた。
前者の大家は経営者、後者はいまだ手間取りの大工である。
私なら、仲間の大工にハンコもらって見積書を書き、休みなどを利用して改修工事をする。目の前に130万円ある、迷うことは無い。
耐震改修は安い材料が主で、ほとんどが手間賃である。小規模なら1週間で終わる工事さえある。
耐震改修を面倒だと思わず、ビジネスチャンスと考えられる大工、工務店が増えることで、結果的に街の耐震化が進むことになる。
耐震改修を飛躍的に進めるキーがそこにあることに皆が気付いて欲しい。
全国商工新聞 2020.12
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