壁量の落とし穴
成田完二の 勝手にコラム   耐震 002
 地震時に必要な耐力は建築基準法で建物の重さの0.2倍以上となっている(二階以上は割増)。建物を二寸勾配で傾けた状態に似ている(図)。
 地震時に必要な耐力は建物の重さに比例する。これは構造計算の話で、木造住宅は壁量基準に準拠して耐力壁をバランス良く配置することで計算は免除される。
 壁量を守れば耐力は担保されているはず、と思うのは自然だ。ちょっと疑って計算してみた。すると意外な事実が浮かんできた。
 
 基準法では建物の重さは二段階で「重い」とされる建物の重量は平家か最上階で1uあたり2.0kN(キロニュートン)。これは屋根が乾式の瓦屋根、外壁が土壁相当の建物である。この重量に0.2の層せん断力係数を乗じた値の75%が必要壁量になっている。
 残りの25%は計算に入らない腰壁や垂壁などの雑壁や仕上げ材などに期待している。間仕切りの多い家ならそんなものだが大きな間取りの家は10%も無い。
 
 さらに葺き土のある「非常に重い建物」の重量は1u当たり3.23kNで1.6倍も重い。
 それは建築基準法の想定外ということになる。小住宅なら基準法通りで十分だが、大きなお屋敷でどっしりとした屋根だと、必要な地震力の半分ほどしか耐力が無いことになる。基準法が出来た昭和23年から現行法まで同じである。
 地震の度に見直されてきた基準だが、ここには触れられてこなかった。何故だろう。壊れやすいのはお金持ちの大きな家だ。壊れても建て直す財力はあるか。その方が経済の活性化になるというのだろうか。
全国商工新聞 2021.9
T O P   勝手にコラムLIST