坪200万円時代?
成田完二の 勝手にコラム   その他 018
 「君の設計した家は坪200万円で出来るか?」
 と尋ねるのは東京を拠点に国境をまたいで活躍中の建築家T氏。坪は坪単価=床面積3.3uあたりの建築コストの意味。最近設計した家が200万円を超えて困っている様子。
 私の設計はそこまでならないものの、この間コストは上がり、3,4年前の1.5倍に迫る情勢で、受注もままならない。正直困っている。
 T氏の家は見てはいないが、その作風からぬくもりのある素敵なものに違いなかろうが、東京周辺で少しこだわるとそんな単価になるのか、と驚いた。

 住宅建築を生業としている私たちの環境はとても厳しい。
 一足先にコロナが開けたアメリカの特需から起きたウッドショックを皮切りに、建築材料の値上げラッシュ。でも品物があれば良い方で、入手困難なものもある。
 また2025年4月に実施される省エネ基準適合義務化、共に構造基準も変わる。行く先も全く暗い。

 坪200万円?。現実味があるように思えてくる。30坪6000万円、そんな家誰が建てられるんだ。50坪1億円となると建てそうな人が見えてくる。
 でも私の客層には居ない。そういう人たちと付き合ってこなかった。今更広げるのは無理だし、たぶん肌が合わない。
 
 収入が上がらず、建築コストが上がったのでは、家を建てられる人が居なくなるのは当然である。この状況にどう対応するのか、方針転換が必須である。
 この年齢になって新規開拓は辛いな。古民家再生と言えば聞こえは良いが、耐震改修やリフォームで食いつなぐしかないのか。
全国商工新聞 Nov. 2023
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