バレーボールオリンピック予選、テレビ観戦、たいへん楽しめた。
会場は国立代々木競技場第一体育館、1964年の東京オリンピックの施設、設計は故丹下健三氏。あの大空間を短工期で日本の吊り橋の技術を応用して実現した奇跡のような建物だ。
それが二度のオリンピックを経験し、60年経った今も現役で熱いドラマの舞台となっている。素晴らしい。
建築物が老朽化してきたとき、補修改修して寿命を延ばすか、いっそ建替するか。
経済的・政治的に判断されることが多いが、そこに文化的価値も考慮してほしい。残すも残さないも、今を生きる私たちがそれを担っている。
丹下健三氏の出世作と言えば香川県庁舎である。前川國男氏の事務所に勤務しながらコンペに応募し、師匠の案を押さえて、破門になった作品だ。
その庁舎に免震工事が施された。執務しながら行われた工事。県の工事担当者に案内されて見学することが出来た。
地下の大空間に免震装置やダンパーが設置されている。
「今地震が来たら装置の働きが見えるな」と、命懸けだが見たかった。
嬉しいのは、外されていたポーチ天井の木製ルーバー、洗い出しの床も修復され、新築当時の趣きそのままに改修されているところだ。
初めて見た建物だが、若い丹下氏の呼吸まで感じられドキドキした。
私の人生も先が見えてきた。丹下氏と比べれば1%も活躍していないが、手がけた作品は残るだろうか。もう一丁勝負したいと思うこの頃である。
全国商工新聞 Nov. 2023
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