建築士は計算が苦手?
成田完二の 勝手にコラム   その他 014
 半世紀近く前、物理実験の授業で計算に苦しんでいた。計測したデータは小数点以下"0"がいくつも並び、出始めの8桁電卓では2乗すると数字が消えてしまう。 やむなく筆算するも班全員の答えが合わない。
 何度もやり直していると、隣の班では工業高校出の奴が計算尺で解き、早々に合格をもらって帰っていく。 余計に焦る。東京タワーは計算尺で解いたと聞いたが、その威力を見せつけられた。
 
 何とか合格を取り付けて帰宅するや、関数電卓を買いに行った。これでLPレコード1年分の予算が消えた。
 でも数式に対する恐怖心が薄らぎ、簡単な構造計算くらい出来るようになったのはこの電卓のお陰かもしれない。
 
 設計者の仕事は図面を描くばかりではなく、結構計算が付きまとう。構造計算、省エネ計算、換気計算、排煙計算から面積計算まで。
 加減乗除なら経理で使う電卓で出来るが、構造計算や省エネ計算は関数電卓が無いと出来ない。
 建築士という人種、理系なのに計算が苦手なところがある。
 課題で計算がある講習会に経理用の電卓を持ってくる人はこの類いだ。たぶん、自分で電卓買ったことが無い。奥さんのヤツか景品でもらったものだ。 ノートパソコンはお子さんのお下がりだったりするから、そんなものだろう。
 
 2025年から省エネ計算が義務化したり、壁量計算が難しくなったりするらしい。
 明らかに計算苦手な建築士いじめだ。これもご時世、負けること無く克服しようではないか。まずは関数電卓を買うところからかな。

全国商工新聞 Apr.2023
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