新築住宅のプランニングほど楽しい仕事は無い。
家族の幸せのお手伝いをしている気分である。若い頃は有名建築家の作品に刺激をもらいながら、新しい住まいのあり方などを生意気にも提案した。大家族から核家族化へ。個室があってリビングキッチン、お風呂があって小さな庭がある。
昔の家は、フスマか障子で間仕切り、プライベートなど無かった。炊事場は共同井戸で、銭湯に行くのが贅沢だった。50年前ならそんなものだった。
電灯だけだった設備がいろいろ増え、生活を豊かにしてきた。
今では建築費の1/3以上が設備費である。玄関はオートロック、家電や照明の操作がスマホで出来、帰宅前にエアコンを点けることさえ難しいことでは無くなった。
歳を重ね、最近の注文主が自分よりも30歳も若く、世代が全く違うと信じられない注文が来る。
欲しいものでは無く要らないものだ。「テレビ、風呂の窓、庭」など。テレビと共に育ってきた世代だ。アンテナや共聴システムなど、テレビ配線を家中に張り巡らせたが、それが要らない。お風呂の窓は防犯上譲って理解するとして、庭だ。

家を建てたら、芝生の庭でレトリーバーでも飼うのじゃ無いのかい。
固定電話は不要だがインターネットのため光回線は引く。でも5Gが当たり前になったら、それも要らなくなるんじゃ無いのか?アラ喜寿の頭では想像が付かない。
遅れそうな時代にしがみつきながら、今日もプランニング。それでもやっぱり楽しい。
全国商工新聞 May.2022
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