ある森林組合の場合
成田完二の 勝手にコラム   その他 004
 長野県の南部N村、世帯数450余。営林面積7000ha、内3000haが村営林。
 そこの森林組合に住宅の木材をお願いすると柱50本分のスギ材が無料供給されるので、利用させていただいている。木材の需要興しで10年以上になる事業とのこと。
 税金を使った補助かと思っていたが、左にあらず。村営林の内、年間10haをこの対象とし、間伐をしてそれを当てているそうだ。森の手入れも出来て、ユーザーも喜ぶ、Win-Winの関係でめでたし、と諸手を挙げていられない。年10haでは村営林全部が整理されるのに300年掛かってしまう。
 
 ウッドショックで急に増えた需要。春夏は成長期で伐採に適さないのではと問うたら、人工乾燥した場合、強度品質に差が無いことが研究済とのこと。今年は暑い最中、山に入るそうだ。
 しかし、人手が決まっているので、とても需要に追いつかないのが現状だ。
 
 戦後復興で木材は売れに売れた。雑木林は切り開かれ、スギやヒノキが植えられた。それらが70余年経ち、この事態である。
 一森林組合にお話しを伺っただけだが、どこも同じような問題を抱えているだろう。
 日本の山には木材は十分すぎるほどあるが、それに見合う人手と流通、費用負担。それとそのバランス、木材の使い方など、どうも使う私たちにも問題がありそうだ。
 次の作品から設計を見直して、木材を生かした家づくりに転換しなくては。
全国商工新聞 2021.7
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