内地材の活用
成田完二の 勝手にコラム   その他 003
 ウッドショックで、いかに輸入木材に頼っていたかが解る。
 ツーバイフォー(木造枠組壁工法)は規格がアメリカなので国産材に置き換えるのは不可能であろう。
 これは大手に浸食されようとした住宅建築を米国の中小工務店、大工達が立ち上がって規格を単純化し、コストを抑え効率を上げたことでうち勝った工法なのだが、この話は置いておく。
 
 木造建築の主流は在来工法である。
 現在では主に梁など水平方向に用いる木材(横架材)にベイマツや欧州アカマツなどの輸入材を使っている。ヒノキやスギを植えても梁に向いた松材を植えてこなかったツケだ。
 横架材は柱に比べると太い。木材の値段は体積×単価なので、材積の伸す横架材は安い材料にしたい。そこで外材に目が向いたのだ。
 私が梁に使っているのはスギである。スギは軽量で曲げに強い。つまり梁に向いた木材だ。単価もそれほどでもない。
 ただ、ベイマツと同様には使えず、設計に工夫が必要である。曲げの基準強度をみるとベイマツE110等級とスギE70等級がほぼ近い。等級のEはヤング係数で粘り強さを示すから、スギは1.5倍柔らかくても同じような強度がある。
 ベイマツをそのままスギに置き換えたら、1.5倍柔らかい床ができてしまう。それはマズい。
 スギ材を使うときは少し太くしたり、トラスを組んで材積を減らす工夫をしている。
 そんな工夫で内地材の需要が増えるなら、苦労ではないと思っている。
全国商工新聞 2021.6
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